<移住者インタビュー>えっ、Uターンを考えている人には勘違いもある!?ケアマネから不動産賃貸経営まで手掛ける帯広の山川さん

お子さんはもうすぐ2歳。一児の母でありながら、ケアマネージャーとして、ときには大家として不動産賃貸経営をはじめ、空き家活用事業を展開する山川知恵さん。高校まで帯広で過ごし、東京へ上京。結婚を機にUターンした移住者のひとりです。“今もUターンを考えている人の中には勘違いしている人も…”と、ちょっと気になる話題も。そんな山川さんにUターンされたきっかけや“今”についてお話を伺いました。

ヒッチハイクしていた頃の様子

プロローグ〜有り得ない世界を見てみたい

上京のきっかけは短大への進学。でも、東京に行ったら“自分の知らない世界をたくさん見ることができる”それが山川さんの本心だったといいます。当時はライブハウスや全国ツアーのスタッフ、新聞社などのアルバイトでいろんな仕事をしながら日本中をヒッチハイクでまわったり、東京でもとにかくいろんな世界をのぞいてみたかったと、10代後半の若者らしい好奇心があったのだそう。

しかし、「上京して帯広では有り得ない世界を見てみたかったんです(笑)」と話す山川さんのバイタリティーは、どうやらUターンしてからも止むことはなかったようです。

ヒッチハイクしていた頃の様子

2004年に帯広にUターンしてからは11年くらいケアマネージャーを続けていましたが、出産を機に休暇に入ります。以前から副業で行っていた不動産賃貸経営の多角化や空き家活用事業を展開。その傍ら、帯広を訪れた外国人旅行者を対象に日本文化の体験ができるアクティビティで、まちなかの活性化に取り組むなど体験型観光事業者としての顔も持っています。一見、つながりがないようにも思えるそれぞれの取り組みも、山川さんにお話を伺ってみると、山川さんらしい、とても興味深いエピソードがありました。

もともとUターンを考えていた?

山川さん:いつかは帰ると思っていました。私の勝手な考えかもしれませんが、上京している帯広出身の方には気持ちのどこかでいつか帰るというマインドがあるのだと思います。私自身も東京で上京している人と集まっても、そういう話になることが多かったですね。いつ帰るの?というのが普通の会話だったり。“ずっと向こう(東京)でやるぜ!”(笑)といったようなよっぽど強い意志を持った人は少数派だと思います。私は何の迷いもなく、いつか帰るんだろうなと思っていましたし、帰らないといけないその時まで自由に思いっきり、見られる世界は見ておこうと思っていましたね。

Uターン後に生まれた山川さんの息子さん

戻ってきたきっかけは結婚です。25歳の時に今の主人と東京と帯広で遠距離恋愛をしていて、ちょうど結婚の話が出た時で良いタイミングでした。先にUターンした友達もいて、ちょろちょろと帰る人が増えてきて、ちょっとずつ焦るんですよね。もしこのままずっと東京にいたら、帰って来られなくなるんじゃないかなと不安になったりして(笑)私の場合は結婚でしたが、帯広から上京している人の習性みたいなものがきっとあるのだと思います。

Uターンのためにやっていたこと

山川さん:いつか帯広に戻る時のために、地方でもできる仕事のスキルを身に付けておかなければならないと思うようになって。実家が医療関係の仕事をしていたこともあり、医療や福祉関係が良いと考え、福祉関係の会社で下積みを経て、Uターン後にケアマネージャー(介護支援専門員)の資格を取得しました。

ケアマネージャーとは介護認定を受けた介護が必要な人やその家族からの相談に応じたり、利用者の希望をヒアリングし、介護サービスのケアプラン(給付計画)を作成し、関係機関との連絡や調整を行ったりするお仕事です。帯広に戻ってきてからは介護事業所で働いていました。

忠類(幕別町)の所有物件。山川さんは帯広市に2棟、音更町に戸建て3戸含め5棟、忠類に1棟、タイにも1戸コンドミニアムのマンションを所有している

ケアマネから不動産賃貸経営まで

山川さん:実はケアマネージャーって、まちづくりの仕事でもあるんです。介護職の最上位みたいに思われがちですが、仕事内容は介護に関するマネジメントのほか、街の中の社会資源の調整を行ったり、何が足りなくて、何が求められているのかを把握する必要があります。自分のクライアント(介護が必要な人やその家族)の生き方のためにこの街をどうしたら良いかを、個人と街の両方の視点を持っていなければならないんです。それがおもしろいところですね。

忠類の所有物件

忠類の所有物件

まちづくりというのは、誰も知らない行政の人がやっているのだろうと思っていましたが、誰でも参加できるもので、街が変わっていくことに気付きました。上京した時は自分の知らない世界を見たいという一心でしたが、その世界にいる人って、何考えているのか興味があって、どんな価値観でどんな暮らしをしているのかと。そうやって外からの視点を大切にして培ってきたものは、いま不動産や観光に関するマーケティングにも活かされていると思います。

そして、つながっていく

山川さん:ケアマネージャーは行政とつながっていて組織の中に属したお仕事でした。ちょうど子供が生まれた頃、自分としては子育てをしながらできるフリーランスの仕事として空き家活用事業を始めました。これまでの実績として、古アパートのリノベーション5棟29室、空き家のリノベーション2戸、空き店舗の改装1件、さらに相談・施工中のものでは、空きビル活用の相談2棟、空き公共施設リノベーション1件、多店舗展開相談1件、住居用古家のリノベーション2戸などがあります。

不動産賃貸経営は大家さんとして、地域とダイレクトにつながるお仕事です。自分が大家さんとして不動産のお仕事に関わっていく中で、さまざまな空き家の問題を知るようになったのです。空き家問題に関する事業に関わる人たちがいっぱいいることもわかり、地域も空き家問題も解決できるような大家さんになろうと思うようになりました。

山川さんがリノベーショントータルコーディネートした物件

山川さんがリノベーショントータルコーディネートした物件

もっと、つながっていく

山川さん:今後はこれまでの経験やスキルを活かして、ケアマネージャーと不動産を複合した事業をやりたいと思っています。もう一つは、首都圏ではDIY可能物件やシェアハウスなど、地方に比べて先進的な取り組みをしている大家さんがいる中で、十勝でも“これあったら良いのに”というものを取り入れていきたいですね。まずは自分のアパートでやって満室にできたら(笑)新しい取り組みとして、ほかの大家さんにとってのモデルケースにもなって空き家問題の解決にもつながっていければうれしいです。

山川さんがリノベーショントータルコーディネートした物件

それと、まちなかの活性につながればということで、アジアを中心に帯広を訪れた外国人旅行者を対象に茶道や着物などの日本文化を体験できるアクティビティ商品を提供しています。体験型観光事業者でもあるので、まちづくりで福祉も不動産も観光も、その時々で興味があって自分にできること、役に立つことがあれば何でも良いかなと思っています(笑)。

移住して思うこと

山川さん:自分がUターンするまで、地方での生活や仕事は落ち着いた硬いものになってしまうのではないかと思っていました。私と同じように、今もUターンを考えている人の中には勘違いしている方がいるかもしれません。実際はクリエイティブな仕事もあって、東京にいたからこそ積み重ねたスキルや経験が重宝されることもあり、活躍できる場所もあります。

でもUターンや移住を検討している人の中にはそのことに気付いていなくて、都会で得たスキルを活かせないと思っているかもしれません。私自身も当時は戻ったらケアマネージャーだけをやると思っていたことが、実際には可能性がたくさんあって、いろいろ幅広くつながっていますから(笑)。躊躇している方がいたら、思い切って検討してほしいですね。
(取材・文 渡邊孝明)

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