横浜出身、足寄在住。ハンター兼、ゲストハウスオーナー。31歳、儀間さん狩猟の様子を取材してきた!

狩猟をする為に横浜から足寄に移住した30代の夫婦がいる、と聞きつけ、「なんて奇特で気合いの入った夫婦がいるんだ!」と色めき立った「とかP」5号。

狩猟採集生活に憧れながらも、東京砂漠に住み続ける、エセハンター希望者の1人である。

ミーハーな好奇心と、移住ハンター夫婦の「気合いと苦労」を肌で感じることで、地方移住をしない言い訳を上塗りするつもりで足寄に向かわせていただきました。

果たして、その結果は・・・

午前5時、日の出と共にハンティング開始

午前5時。帯広から車で1時間ほど、足寄インターから約5分の「ゲストハウスぎまんち」に「とかP」取材班は集合しました。

そこで私は儀間さんと初対面。遠くからでも視認しやすい鮮やかなオレンジ色が綺麗なハンティング・ベストと帽子、そしてソフトケース入りの散弾銃が「ハンター」であることを象徴しています。

実は、勝手なイメージで「ハンター = 気難しい兄ちゃん」を想像していた私。「ナメられたらアカン」と少しだけ気合いを入れていたのですが、想像していた兄ちゃんとはかけ離れたフレンドリーな自己紹介を受け、すぐに打ち解けることができました。

日の出と共に発砲が可能となるのですが、車に乗り込むとき、エセハンターの私が携行用銃として渡されたのは蛍光オレンジの(水)鉄砲。

「クマが出てきたときはこれで戦ってください」とのこと(笑)

車で山道を走りながら獲物を探索

狩猟エリアが広い北海道では、車で流しながら獲物を見つける流し猟が主流なのだそう。

また、この季節は狩猟期間ではないものの、農作物の鳥獣被害を防ぐための狩猟は許可されています。足寄はシカが生息する中山間地を背にした畑が多く、十勝の中でも最も被害額が大きいそう。足寄だけで年間約1億円の被害があります。

狩猟に興味を持った理由は「肉が好きだから」

車で流すこと、約1時間。儀間さんがこれまで獲物と出会った地点も辿りながらも、鹿とは出会えず。
移動中は、儀間さんに、狩猟を始めたきっかけや、北海道に移住した理由やゲストハウスを始めた理由、等の話を伺いました。

元々、会社員をしていた儀間さんですが、
狩猟に興味を持った理由はシンプルに「肉が好きだから」。「冷蔵庫がいつも肉で溢れているような暮らし」に憧れたそうです。鹿を2匹も仕留めれば、1年間は肉には困らないそう。

そして、初めて狩猟に参加したときに、「これだ!」と確信を持った儀間さん。そして直感に従い、様々な思い込みや制約を軽々と越えて行く儀間さん。声や語り口にも優しさが溢れています。

2時間後、車の前を2匹の鹿が通り過ぎたのを見て、急いで追いましたが、すぐに車道脇の谷に姿を消していきました。

やはり、簡単には仕留めさせてくれません。見つけたとしても、山を背にした状況や、回収可能な状況でなければ発砲はできません。美しい景観のオンネトー付近も周回しましたが、そこは国有地なので狩猟はできません。なかなか厳しい条件です。

目を凝らして探していると、木の切り株が熊や鹿に見えてくるのと、自分もだんだんハンターの気分になってくるのが不思議です。

150メートル先にエゾシカ発見!

3時間後、「あれ!」と車の後部座席から声を上げてしまった筆者。

走行する車の左側、150メートル程先の畑と森の境に動く茶褐色の影。

車を降りて、ゆっくり、近づきます。儀間さんの銃は有効射程距離が50~75メートルほどなのです。

鹿は気配に気づき、微動だにせずこちらを見つめています。我々も注視しながらもゆっくり、ゆっくりと近づく・・・

この緊張感はたまりません。私も(水)鉄砲をいつでも発射できるよう握りしめ、儀間さんとは違う方向から、姿勢を低くして鹿を挟み込みます。

儀間さんが、蛍光オレンジの猟友会キャップを脱ぎ、もうすぐ射程圏内に入ろうとしたとき。

突然、鹿は跳ねるようにして、森の中へ入っていきました。
鹿は、射程距離がわかっているのだろうか?

儀間さん曰く、「この季節にはもうアホな鹿は残っていない(既に狩られている)ので、簡単に近づける獲物はいない」のだそうだ。

しかし、儀間さんの鹿を発見してから、銃を両手で持ち、足跡などを確認しながら獲物を追い詰めていく際のスムーズな動作に見とれてしまいました。

ハンターってカッコいい!

ゲストハウス「ぎまんち」に帰還

今回、残念ながら獲物を仕留めることはできませんでしたが、鹿と対峙した時間を過ごせたことに、ここでしか体験できない充実感を味わうことができました。

陽も昇り、気温が上がってきたので、猟を終了し、儀間さんが運営するゲストハウス「ぎまんち」へと帰還。

「ぎまんち」は足寄町で唯一の民泊許可を取得しています。

紺色の暖簾を潜り、玄関を入ると、ゲストハウスのイメージとはかけ離れた内観に驚きます。柱が太く、意匠も凝りに凝っています。

「ゲストハウスというより、旅館?」

どうやらこの家は、宮大工の方が建てた家らしい。
ダイニングを除いても、5部屋はあっただろうか?しかも、一部屋が大きい。

地下にも部屋があり、立派な浴室もあります。そして、薪ストーブ、宿泊者用のガンロッカーまで!

そして、ゲストハウスにする為の必要なリフォーム費用は、クラウドファンディングで集めたそう。目標を大きく上回る(265%)成功を果たしました。

移住1年で、宮大工施工の家を見つけ、クラウドファンディングから民泊まで開始している儀間さん。まさに「今」を生きるそのライフスタイル、羨ましすぎます。

地元の人を声を聞き、ゲストハウスを開設

「不便、不足の多い田舎には必要とされる仕事がたくさんあります。移住希望の町で職を探すのも良いことですが、仕事を創るという選択肢があってもいいのではないか?と思いました。」と話す儀間さん。

町の人からは、「ゆっくりお茶できるお店があったらいいな」「飲み屋はたくさんあるけど、運転代行業者がなくなってしまった」など、「こんなサービスがあるといいのに」という声はよく聞こえてくるそうです。

その中の1つに、宿泊施設の話もありました。実際、足寄には旅館が少なく、部屋が一杯になってしまうこともしばしば。

ネット上にもあまり情報が出てこないため、少しでも多くの方が(夜の飲み屋めぐりを含めて)ゆっくり過ごせる空間を作ってあげたいと思ったそうです。

また「もともと民泊に興味を持っていて、平日の日中帯は他の仕事もできるので、自分たちのような個人事業の初心者にはちょうど良いと思ったのです。」とのこと。

ここでも、儀間さんは、清々しいほどに肩に力を入れず、思い込みを持たず、現実に対峙し、素直に直感に従っています。

地元に溶け込み、ニーズを発見し、自分でできることを考え、一緒に生きる選択をしたからこそ、クラウドファンディングで多くの支援者が集まり、成功に繋がったのだと感じました。

鹿肉・猪肉・ラクレットチーズのバーベキュー

取材後、儀間さんの奥様も参加して、ゲストハウス「ぎまんち」の庭で、バーベキューコンロを囲み、肉や魚や野菜をいただきました。野菜やラクレットチーズは、地元の人からのお裾分けだそう。

鹿肉や猪肉を焼き、ラクレットチーズをたっぷりと乗せます。東京あたりだと、ウン千円はしそうなビジュアルです・・・インスタに上げたくなります。

これが「お裾分け」だというからビックリで、値段が気にならない分、味を、匂いを掛け値無しで味わいます。なんという贅沢・・・。

奥様が、サラダやおにぎりも振舞ってくれて、彩を添えてくれました。
改めて、儀間さん夫妻に、「移住して変わったことはありますか?」と伺ったところ、

お二人とも「気持ちが安定した」と、肉を頬張りながら応えてくれました。

私が勝手にイメージしていた「気合いや根性」とは違う、自然で、素直な雰囲気を2人から感じます。

開業されて、苦労が絶えない事に違いないとは思いますが、気負いがなく、地方の生活を楽しむ2人を見て、自分も素直に、目の前の肉と足寄の空気を美味しくいただきました。

今回の狩猟同行取材を通じて、儀間さん夫婦の気負いのない行動力を羨ましいと感じました。

地元に溶け込み、地元の声を聞き、必要だと感じたことを、自分の強みを生かして立ち上げる。「ぎまんち」には宿泊者用のガンロッカーがありますが、他地域から、北海道にやってくるハンターにも安心して利用してもらう為に設置したそうです。

部屋の広さを生かし、食関連のイベントや、映画の上映会などもやっています。地域活性の「火種」を起こし、足寄の魅力を発信し続けているのです。

その火種は、地元の方々はもちろん、域外の人たちも巻き込み、益々大きくなりそうな予感
があります。

様々な人が集まり、様々なものを持ち寄って、自然で、肩肘張らない豊かな時間を味わうことができる。そんな儀間さん夫婦から自然と溢れ出るホスピタリティは、ゲストハウス運営にとても向いているのではないでしょうか。

「狩猟解禁後、また、冬にも来ます!」と言って、儀間さん夫婦と別れの挨拶をしました。

「とかP」5号こと筆者は、地方に移住しない理由を上塗りできず、狩猟採集生活への憧れの気持ちだけが強くなりました(笑)

「ぎまんち」詳細情報

・「ぎまんち」Facebook
ご予約、お問い合わせはこちらから
https://www.facebook.com/gimanchi/

・クラウドファンディング
狩猟をしに北海道足寄町に移住。この夏ゲストハウス、始めます!
https://readyfor.jp/projects/hokkaido-ashoro-localwork

書いた人

「とかP」5号 長崎哲也(ながさきてつや)メンバー。

兵庫県出身、東京都在住。普段は人事コンサルティング事業を営みながら、知人らと立ち上げた「ネイチャーダイブプログラム(農業インターン事業)」の活動で、帯広市や各農協、全国各地の大学とも関わり、年に数回、十勝に訪れる。

ネイチャーダイブプログラム関連で、十勝の飲み仲間が増えていき・・・そんなこんなで、いつのまにやら十勝の関係人口に(笑)

・ネイチャーダイブプログラム詳細はこちら
http://nougyou-intern.com/

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